韓流ドラマ『マンスリー彼氏』の舞台は、熾烈なウェブコミック制作の最前線である。そこは常に修羅場だ。読者の絶え間ない欲求を消化するため、現場は常軌を逸したスピードで動いている。BLACKPINKのジスが演じる主人公ソ・ミレもまた、この濁流に飲み込まれたプロデューサーの1人である。
同じオフィスにはライバルが陣取っている。ソ・イングクが扮する有能な同僚パク・ギョンナムだ。会社の上層部は売れっ子クリエイターの担当をこの2人に任せた。競争心を煽って利益を上げるという計算高い配置である。仕組まれたこの社内抗争が、彼女の精神を少しずつ削っていく。
どん底まで疲弊した彼女が最後に救いを求めた先は、デジタルな世界だった。それがVR恋愛シミュレーション「マンスリー彼氏」である。これは1ヶ月単位の定額制サービスだ。契約を結べば、自分にとって都合の良い完璧なパートナーをVR空間に呼び出せる。生身の人間と愛を育むような気力は、今の彼女に少しも残っていない。ただ自分を全肯定してくれる仮想空間だけが、彼女を繋ぎ止める命綱となったのである。
専用デバイスを身につけ、彼女はデジタルの夢へとダイブする。そこで待っているのは美しい男性たちだ。1人目に現れたのは、イ・スヒョク演じる富豪の跡取り息子シウである。
そして契約更新後の翌月に現れたのは、ソ・ガンジュン扮する大学時代の剣道部の先輩ソ・ウンホだ。彼は欠点のない立派な青年であり、まさに非の打ち所がない好人物である。このように全く異なる個性を持ったイケメンの幻たちが月替わりで登場し、彼女の干からびた心を潤していく。
激しい生存競争が繰り広げられる現実のオフィス。甘い囁きだけで構成されたデジタルの箱庭。これら2つの空間の強烈なコントラストが、この作品に深い陰影をもたらしている。
しかし、やがて明るい話題も登場する。それが、ソ・ミレとパク・ギョンナムのラブロマンスだ。「ライバル関係」から「恋愛関係」へ。そのプロセスをソ・イングクが魅惑的に演じていた。彼のクレバーな視線がとてもいい。
文=康 大地(こう だいち)
画像=Netflix
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