ソ・イングク主演の『応答せよ1997』を見てない人は幸せだ。こんな大傑作をこれから見られるのだから

レジェンド作品
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大躍進を遂げた2人の俳優

『応答せよ1997』は、人間の情愛を重層的に描いた作品である。とりわけ兄弟愛の描写が秀逸である。主人公のユンジェ(ソ・イングク)は、ヒロインであるシウォン(チョン・ウンジ)に恋をしている。しかし彼にはテウンという兄がいる。そして、兄のテウンもシウォンに思いを寄せている。1人の女性を巡り、兄弟の関係は一時的に複雑化する。しかし物語の後半では、互いを深く思いやる姿が描かれる。その場面は非常に感動的である。韓国の映像作品は、総じて家族の絆を重んじる傾向にある。本作もその例に漏れず、正統派の人間ドラマに仕上がっている。

これほどの傑作が、地上波ではなくケーブルテレビのtvNで放送された。制作陣を率いたシン・ウォンホ監督は、配役において大変な苦労を強いられたという。放送局がケーブルテレビ局であったためである。希望する俳優陣からは次々と出演を拒否された。窮地に立たされた末の苦肉の策が、ソ・イングクとチョン・ウンジという新人2人の起用であった。

ところが、この抜擢が見事に的中する。とりわけチョン・ウンジの演技は極めて自然であった。釜山の高校にはこのような女子生徒が実在するに違いないと思わせるほどの説得力があった。一方のソ・イングクも、無口で不器用な釜山特有の男性像を等身大で演じきった。この2人の見事な演技力は特筆に値する。2人は本来歌手であり、演技の経験は決して豊富ではなかった。チョン・ウンジに至っては本作がドラマ初出演である。ソ・イングクも過去に『ラブレイン』で脇役を務めた程度であった。しかし本作を契機に2人は大躍進を遂げ、瞬く間に人気俳優の座へと上り詰めた。

日韓両国の類似性

舞台設定が釜山(プサン)である点も珍しい。日本の視聴者にとっては、釜山という都市の気風は馴染みが薄いかもしれない。同市は韓国第2の都市である。しかし、首都ソウルに対しては特有の感情を抱いている。

ソウルからの転校生を迎えた際の教室の空気感に、その背景が如実に表れている。加えて、釜山の方言は非常に癖が強い。日本で例えるならば、ひときわ強烈な関西弁に近い感覚である。そのため、たとえ韓国語を解さずとも、独特の抑揚だけで十分に笑いを誘う魅力がある。また、劇中には数多くの伏線が巧みに張り巡らされている。それらが物語の後半で見事に回収されていく。脚本の構成が実に秀逸である。

さらに、本作の魅力は、釜山の高校に通う6人の若者たちが織りなす活力に満ちた学園生活である。演じる俳優陣の掛け合いは絶妙である。そのやり取りを眺めているだけでも、胸が躍る面白さがある。同時に、韓国の高校生も日本の高校生と何ら変わりはないという率直な感想を抱く。このような点においても、日韓両国の類似性が垣間見えるのである。

韓国の映像作品に活力

さらに、本作は幅広い年齢層が楽しめる作品構造となっている。例えば20代から30代の視聴者であれば、アイドルに熱中する登場人物の心情を深く理解できるはずである。劇中の人物と年齢も近く、強い共感を抱きながら物語に没入できるであろう。40代から50代であれば、自身の高校時代を重ね合わせることができる。郷愁に駆られながら、懐かしい気分で鑑賞できるに違いない。

さらに上の年代の視聴者には、騒々しい作品に映る可能性もある。しかし、本作の根底に流れる主題は初恋であり、親子愛や兄弟愛である。誰もが共感しうる普遍的なテーマが織り込まれているため、年代を問わず十分に堪能できる。若者たちの熱気あふれる姿に触れ、心が若返る感覚を味わえるはずだ。韓国の映像作品に活力を求める視聴者は多い。その中でも『応答せよ1997』は、まさに活力の源泉となりうる至高の作品である。

文=康 大地(こう だいち)

画像=tvN

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