もし現代に王室が存在したなら
「現在の韓国に、かつての王朝がそのまま残っていたらどうなるか」。本作は、そんな大胆な仮定から出発している。画面に広がるのは、近代的な高層ビル群と伝統的な宮殿が同居する不思議な世界である。この独特な舞台設定のもと、巨大な権力と莫大な富を巡る人間模様が展開される。
物語の核となるのは、愛を前提としない政略的な契約結婚だ。利害関係だけで結びつくはずの男女が、いかにして運命を共にするのか。華麗な宮廷を背景に、スリリングな駆け引きが描かれている。
逆境を跳ね返すヒロインの闘い
主人公ソン・ヒジュを演じるのは、俳優としても高い評価を受けるIUである。ヒジュは、国内有数の巨大財閥に属する令嬢だ。美しさと優れた頭脳を併せ持っている。しかし、彼女の歩む道は決して平坦ではない。彼女は婚外子としてこの世に生を受けた。「愛人の娘」というレッテルが、常に彼女の背中に張り付いているのだ。世間の冷ややかな視線や、いわれのない偏見が彼女を容赦なく痛めつける。
それでもヒジュは決して屈しない。悲運を嘆くのではなく、自らの手で運命を切り開こうとする。その強靭な精神力が、彼女の最大の魅力である。IUは、この芯の強い女性の生き様を、繊細かつ大胆な演技で見事に体現している。
孤独なる摂政と政略結婚の行方
もう1人の主人公が、ビョン・ウソク演じるイ・アン大君である。彼は王族の直系にあたり、比類なき高貴な血を引く人物だ。前国王であった実の兄が急死したことで、彼の運命は激変する。新たな国王として即位したのは、まだ幼い甥であった。未成熟な新王を支えるため、イ・アンは摂政という国家の重鎮に就任する。国の舵取りという途方もない重圧が、彼の両肩にのしかかる。
そこに目を付けたのがヒジュである。彼女は自らの野望を実現させるため、イ・アンへの面会を再三にわたって要求した。当然のごとく、要求は何度も冷たく突き返される。しかし、彼女は諦めなかった。ついに直接の対面を果たすと、自らを妻として迎え入れるよう、堂々と取引を持ちかけたのである。
最初は拒絶したイ・アンだったが、ヒジュの並外れた執念と気迫に少しずつ心を揺さぶられていく。やがて彼は、「大君の妻となる準備を始めよ」と告げる。この瞬間の心の変化が見どころの1つである。ビョン・ウソクは、王族としての圧倒的な威厳と、時折見せる優雅な微笑みで、視聴者を魅了してやまない。
権力を巡る三つ巴の愛憎劇
物語のスパイスとなるのが、コン・スンヨンが熱演する大妃(テビ)の存在である。大妃は、幼くして王座に就いた我が子を守るためなら、いかなる手段も辞さない。彼女にとって、強大な権力を持つ摂政のイ・アンは最大の脅威である。息子を脅かす存在として、彼を激しく敵視しているのだ。
それにしても、コン・スンヨンの発声は特筆に値する。時代劇特有の重厚で威厳のあるセリフ回しが、画面に極度の緊張感をもたらしている。
以上のように、ヒジュ、イ・アン、大妃がそれぞれ抱える宿命が緊迫している。絶対に譲れない信念。これらが激しく交錯し、火花を散らす場面は圧巻の一言に尽きる。3人の思惑が複雑に絡み合う権力闘争から、一瞬たりとも目が離せない。
文=康 大地(こう だいち)
画像=MBC
IUとビョン・ウソクの相性が最高級にマッチした『21世紀の大君夫人』の魅力をさぐる


