韓国ドラマの真髄がわかる『マイ・ディア・ミスター』

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ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』は、本国の韓国はもちろんのこと、配信を通して世界中でファンを増やしている。今まで韓国ドラマになじみがなかった人たちも評価するほど、まさに普遍的なドラマなのだ。




高く評価されるポイントは?

Netflixで韓国ドラマの傑作が数多く放送されるようになり、日本でも新しく韓国ドラマのファンになった人が増えているが、そういう人にぜひオススメなのが『マイ・ディア・ミスター』である。
このドラマは、いかにも韓国らしい作品だ。というか、典型的にディープな韓国ドラマだと言える。
それでは、『マイ・ディア・ミスター』のどこがディープだと言えるのか。
まずは兄弟愛が半端ない。このドラマの主役を演じるイ・ソンギュンは、大きな会社で構造エンジニアを務めるドンフンに扮している。彼は社内抗争に巻き込まれて、心身ともに疲弊していくのだが、そんな彼を救うのが濃厚な兄弟愛だった。
ドンフンは三兄弟の二番目で、長男のサンフンと三男のギフンはともに何をやってもうまくいかず、2人で清掃業を始めて再起する。
この3人は毎日のように会って、底なしのように酒を酌み交わす。その際に展開される兄弟愛をドラマは濃厚に描き続けていく。根底にあるのは、母親への労りと兄弟同士の信頼感だ。




果たして、これほど子供時代と変わらない男兄弟がいるだろうか。そう思えるほど三兄弟はベタベタしすぎている。しかし、見ていて不快ではない。むしろ羨ましいほどだ。
それだけではない。三兄弟が住んでいるのはソウルの後渓(フゲ)という街なのだが、地元への愛着がすごい。「ジョンヒの店」という馴染みの酒場を中心にして、三兄弟と地元の仲間たちがずっと宴会を繰り返す。
象徴的なエピソードになっているのが、ドンフンが悪い奴と殴り合いになったときだ。「ジョンヒの店」に集まっていた人たちが、ドンフンを助けようとして血相を変えて集団で街中を走り回っていく。その騒動が凄まじい。人はここまで仲間のことを助けられるのだろうか。そんなふうに感心してしまう。
一事が万事だ。情が深い韓国社会は私(康熙奉)も山ほど経験しているが、『マイ・ディア・ミスター』で描かれるエピソードの数々は、お節介なほど他人の世話を焼く人たちが濃密に描かれていて、今では失ったものを取り戻せたような気分になってくる。
このドラマを見ていてつくづく思う……これだけ情の深い人間関係を延々と描き続けるのは世界でも韓国ドラマだけだろうなあ、と。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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