より一層の愛着
キム・シンは900年以上も生きてきた。
そこに、どんな意味があるのか。
コン・ユの解説は次の通りだ。
「現実の世界でも、人はみんな愛する人たちとの永遠の別れを迎えなければなりません。私自身も経験していることです」
「一言で言えば、900年はとてつもなく長い時間です。キム・シンが屋上から世の中を見下ろしているとき、その表情はいつも寂しそうでしたが、それは人生を達観していたからではないでしょうか」
「彼は、多くの人が死んでいくのを1人で見送ってきました。そんな悲しい感情が蓄積されていって、それが彼の表情にあらわれていたのだと思います」
以上のように、コン・ユはキム・シンという立場で『トッケビ』を振り返った。
コン・ユが語るキム・シンの悲しみ……そこには、多くの人と別れなければならない人間の宿命が色濃く反映されていたのだろう。
そう考えると、『トッケビ』の描く不思議な世界に、より一層の愛着を感じることができる。
(ページ3に続く)
コン・ユが導く『トッケビ』の世界が人間の生死を乗り越えていく