読書経験がほとんどない
文字をまともに読むことのできない哲宗は、当然ながらあまり本を読んでいなかった。臣下たちに「今までどんな本を読んできましたか」と聞かれた彼は、中国の代表的な歴史書である『通鑑(トンガム)』の2巻と、儒教の修身や作法の教科書である『小学(ソハク)』の1巻と2巻を読んだと答えた。
それを聞いた臣下たちは、嘲笑した顔を隠すためにうつむいた。なぜなら、『小学』は子供用の書籍だったからだ。純元王后は、文章を学ぶなら何を読めばいいかと聞くと、重臣たちは歴史を簡単にまとめた『史略(サリャク)』や儒教の基礎聖典である経書(キョンソ)を薦めた。王族の男子であれば、そういった本は本来、幼いときに学ぶべきものだ。
そんな哲宗の無学ぶりは、純元王后や臣下たちをより不安にさせた。とにかく周りの者たちは、王に学問の重要性を伝えたが、今まで勉学をしてこなかった人が王になったからといって、いきなり博学になるわけがないのだ。(ページ4に続く)