Netflixで配信されている『素晴らしき新世界』は、単なる恋愛ドラマの枠に収まらない。時空を超越したファンタジー要素、企業内のドロドロとした権力闘争、そして腹を抱えて笑えるコメディが絶妙なバランスで配合されている。
過去から飛来した「守護神」の数奇な運命
物語の始まりは非常に衝撃的である。舞台は遠く離れた朝鮮王朝時代に遡る。そこで周囲から恐れられていた稀代の悪女が、何の因果か現代の韓国へとタイムスリップしてしまうのだ。ヒロインは朝鮮王朝時代の悪女だが、現代ではシン・ソリという全く売れない無名の女優として生きることを余儀なくされる。
そんな数奇な運命を背負ったソリが出会うのが、本作の主人公であるチャ・セゲだ。ホ・ナムジュンが熱演するこの男性は、巨大企業グループであるチャイル財閥の3世だ。彼はグループの中核を担う企業、BOJEI(ビーオージェイ)の代表を務めるエリート中のエリートである。
ソリは特異な能力を持っている。非常に強い霊感が備わっているのだ。この常人離れした直感力が、後にセゲを幾度となく救うことになる。まさに彼女は、セゲにとって絶対的な「守護神」として機能するのである。
氷のCEOを溶かす愛と渦巻く陰謀
チャ・セゲという人物は、生半可な経営者ではない。他を寄せ付けないほどの圧倒的な実力を持っている。しかし、その性格は徹底して冷酷である。他人の感情に流されることは決してない。常に利益と効率を最優先し、極めてシビアな態度でビジネスの世界を生き抜いてきた。
そのような彼を失脚させようと、暗闇で爪を研いでいる男がいる。チャイル建設の社長を務めるチェ・ムンドである。チャン・スンジョが演じるこの狡猾な野心家は、あわよくばチャイル財閥の全権を掌握しようと企図している。彼はセゲを陥れるために、あの手この手で巧妙な罠を仕掛けてくるのだ。
絶体絶命の危機に瀕するセゲ。しかし、その度に彼を救い出すのがソリの神秘的な力である。彼女の霊感によるサポートのおかげで、セゲはムンドの悪質な策略を間一髪で回避していく。
ところが、この2人の関係性が深まるにつれて、セゲに劇的な変化が訪れる。あれほどまでに氷のように冷たかった男が、ソリに対する恋心に完全に溺れてしまうのだ。かつての冷徹なビジネスマンの面影は消え失せた。今や彼は、予測不能で突飛な行動を繰り返す「ロマンスの王子様」へと変貌を遂げたのである。
ギャップを生かした「奇跡の配役」と至高のコメディ
緻密に計算された「キャスティングの妙」がとてもいい。
ヒロインに扮したイム・ジヨンは、世界的ヒット作『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』において、視聴者の背筋を凍らせるほどの強烈な悪役を演じきった。その彼女が、本作では時空を超えて奔走するコミカルなキャラクターに挑戦している。一方のホ・ナムジュンも、これまではコワモテで重厚な存在感を放つ役柄が多かった。その彼が、恋に振り回される純情な御曹司を演じているのだ。
この2人の組み合わせは、最初は意外性に満ちていると思われていた。しかし、いざ蓋を開けてみると、両者の持つギャップが見事な化学反応を起こしたのである。これまでのイメージを鮮やかに裏切る演技が、作品に推進力を与えている。
さらに、緻密に練り上げられた脚本の完成度も特筆に値する。シリアスな権力闘争を描きながらも、随所に散りばめられたコメディシーンが秀逸である。息を呑むような展開の中に、思わず吹き出してしまうような笑いが連続する。
日々の生活で疲れたとき、肩の力を完全に抜いて、ただ純粋に物語の面白さに身を委ねることができる。それこそが、このドラマが持つ最大の強みなのだ。
文=パク・ジョンジェ
画像=SBS
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