携帯電話は持ち込めない
入隊するときは誰もが私服である。入隊後に体育着や軍服の支給を受けるわけで、着てきた私服は後に宅配便で自宅に送られることになっている。軍隊に入る以上、地味な服装で訓練所に来るのが一番無難だろう。
一番注意するのは、携帯電話が持ち込めないということだ。
さらに、パソコン、カメラ、貴重品、指輪、ネックレス、酒、タバコも持ち込みが禁止されている。飲食物もダメだ。つまり、必要な書類以外は手ぶらで入隊するしかないのである。
不便だが、慣れるしかない。
入隊日の午後に訓練所の練兵場で入所式があるが、この式は両親や友人も観覧することができる。しかし、そこまでである。整列した新兵たちは入所式が終われば、そのまま兵舎に連れていかれる。
観覧席ではハンカチで涙をぬぐう両親や恋人の姿があちこちで見られる。今生の別れではないが、両親や恋人としては涙が止まらないのである。
新兵も後ろ髪を引かれるが、センチメンタルになっているわけにはいかない。いよいよ厳しい軍人生活が始まるのだ。
しっかりと気持ちを切り換えることが大事。もう社会とは隔離されているのである。訓練と孤独に耐える生活が始まるだけに、覚悟を決める必要がある。
後戻りはできない。自分を信じて軍務に励んでいこう!
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