軍楽隊の行事
〔師団内〕と〔師団外〕に分けて軍楽隊が担当する行事を紹介しよう。
〔師団内の行事〕
・国旗掲揚式
・主要人事の退任式と就任式
・師団訪問者を歓迎する行事
・新兵の入所式および修了式
・殉職者の葬儀
・遺骨発掘に関連する行事(朝鮮戦争で亡くなった兵士の遺骨が発掘されると行なう)
・動員訓練入所式(除隊した兵士が定期的に招集される際に行なう)
・米軍との交流会(防衛上、とても重要な行事である)
〔師団外の行事〕
・民間で行なわれる祝祭、大会、記念日行事
・民間に対して軍の活動を広報するイベント
実際、芸能人が兵役で軍楽隊に入れば、民間支援のイベントのステージ上で自分のパフォーマンスを披露することができる。自分の能力を生かせる場を軍隊の中で見つけたという意味では、このうえもない喜びである。
しかし、勘違いしてはいけない。軍楽隊員も軍人である以上、何よりも優先するのが軍隊内の規律だ。特に、階級や先輩後輩関係は絶対なのである。このあたりが骨身にしみていないと、好きな音楽ができるということで気分が浮つかないともかぎらない。
あくまでも謙虚に、芸能人の雰囲気を出さずに……。
そうやって兵役期間を過ごせば、仲間からも信頼されて、軍楽隊の日々はとても有意義であろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。