ドラマ『逆賊-民の英雄ホン・ギルドン』に登場するホン・ギルドン。この人物が韓国で有名なのは、許筠(ホギュン)が書いた傑作小説の主人公だったからだ。その小説の中でホン・ギルドンはどんな人物になっていただろうか。
痛快な小説
1569年に生まれた許筠(ホギュン)は、一流の文人の末っ子として生まれた。科挙で首席合格した彼は、高官への道を歩むが、その視線は常に社会を批判的に捉えていた。それは、身分制度の中で冷遇される人たちをよく見ていたことと無縁ではない。
「世の中が間違っている。俺は黙っちゃいられない」
常にそんな思いを抱いていた。社会に目をつぶって栄達を望めば、宰相にまでなれる実力がありながら、許筠は社会からつまはじきにされる人たちと付き合い、本気で革命を夢見ていた。
そんな彼が、王政への痛烈な批判を込めてひそかに書いた小説が『ホン・ギルドン(洪吉童)伝』だ。史上初めてハングルで書かれた小説とも言われている。
内容は、許筠のうっぷんを晴らすように痛快だ。
小説の主役は義賊のホン・ギルドン(洪吉童)。舞台となっている時代は世宗(セジョン/在位は1418~1450)の治世のときだ。
洪(ホン)宰相は本妻から長男、妾からホン・ギルドンを授かった。
もちろん、2人の息子を愛していたが、ホン・ギルドンをかわいがるわけにはいかなかった。庶子を表に出せなかったからだ。そういう差別のせいで、幼い頃から聡明だったホン・ギルドンも、辛い日々を送るようになった。
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