サクセスストーリーが多い
韓国の人たちがドラマが好きな理由として一番に挙げたのは、「代理満足を得られるから」というものだった。
日本では、韓国ほどには「代理満足」という言葉が使われないので、ちょっと説明が必要だろう。
ドラマにおける代理満足とは、「現実世界では実現が難しいことを、ドラマの登場人物たちが現実のように演じることで、視聴者の願望を代理的に叶えてくれる」というものである。
あるいは、日常生活で起きる不満を登場人物が代わりに解消してくれるという意味も持っている。
つまり、こう考えればいいだろう。
誰もが叶えられなかった夢を持っている。そんな夢を自分に代わって叶えてくれるのが、韓国のテレビドラマなのでは……。
実際、韓国のテレビドラマにはサクセスストーリーが多い。1人の主人公が様々な困難に遭遇するが、自分の才覚と努力でそれを克服して、最後に成功を得る……そうしたストーリーの中に視聴者は自分を投影させて、登場人物になったつもりでドラマをとことん楽しむのだ。
やっぱり、韓国の人にとって代理満足を得られるドラマというのは、娯楽の王者なのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)