朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾にまで発展した崔順実(チェ・スンシル)スキャンダル。大統領が操り人形になっていたということで、国民の怒りが沸点に達したが、歴史を振り返ってみると、同じような事態になった時期があった。その中心人物は、朝鮮王朝の後期に女帝とした君臨した純元(スヌォン)王后である。
一族だけで利権を独占
純元王后は、23代王・純祖(スンジョ)の正室だった。
彼女の実家は安東(アンドン)・金(キム)氏の一族だった。
この「安東」とは、一族の流派を示す本貫(ポングァン)である。自分の出自を示す記号のようなもので、朝鮮半島の人なら誰もが持っている。
よく知られているように、「金」は人口が一番多い姓である。他の姓と同様に「金」にもたくさんの本貫があり、この本貫が一致する場合だけ同族と見なされる。中でも、「安東」は「金」の中でも特別な名門である。それゆえに、結束も固かった。
この安東・金氏の出身である純元王后は、決断力が弱い夫に成り代わって官僚人事に口を出し、いつのまにか高官の席に自分の息がかかった一族の男たちをズラリと並べた。その手練はしたたかで、純祖も口をはさめなかった。
一枚岩になった安東・金氏の高官たちは、一族だけで利権を独占し、朝鮮王朝の政治はあきれるほどに腐敗した。賄賂が横行しすぎたのだ。(ページ2に続く)