郷校のイチョウが見事
古風群のそばには、古い民家が残っていて、韓国の奥座敷に入ってきたような心地よい感覚にとらわれる。
古墳と一緒に古い民家の佇まいを見られるというのは、古都ならではの贅沢だ。
やがて、郷校(ヒャンギョ)がある一角に出た。郷校とは、朝鮮王朝時代に各地に造られたエリート学校である。歴史的な保存建築物であり、堂々とした書堂や情緒的な中庭を見学できる。
中庭には、キムチを漬ける大きなカメが並び、その脇には菊の花が咲いている。
いかにも中世的な光景である。日本の庭は手をかけすぎるきらいがあるが、ここはあるがままという感じだった。
もう一度、郷校の外観を見る。韓屋の塀沿いには競うようにイチョウが植えられていて、韓国風の反り返った瓦と絶妙な調和をかもしだしている。
やはり慶州にはイチョウがよく似合う。
(次回に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)