様々な屋台が出ている
とにかく、辛かった。辛さをしのぐためにビールをどんどん飲まなければならないなんて……。しまいには辛さに耐えきれず、鳥カルビを半分以上残してしまったが、いわれのない罰ゲームを受けた気分だった。
口の中をヒリヒリさせながら外に出たが、まだ食欲は満たされていない。ちょうど「プデチゲ専門店」の看板が目に入ったので、迷いなくその店に行き、ソーセージ、スパム、キムチなどを煮込んだプデチゲ(部隊鍋)を注文した。鳥カルビとプデチゲは私の大好物だが、まさか一度にハシゴをするとは思わなかった。
さすがに満腹になり、腹ごなしに木浦の繁華街を散歩した。あでやかな店舗が並ぶ通りの真ん中に、様々な屋台が出ている。
とはいっても、酒を飲ませる屋台ではなく、すべてが立ち食い用だった。そんな屋台をのぞきながら歩いていると、腹一杯に食べたのにまた食欲を刺激された。
気のよさそうなアジュンマ(おばさん)がやっている屋台で足を止めて、まずはトッポッキ(甘辛い味をつけた餅)を食べた。アジュンマは小柄だが、ふくよかな体型で声に艶がある。しかも、言葉の最後にかならず笑いが出る。それにつられて、屋台に並べられた串焼きに目が釘付けになった。
長い串に平べったい肉が8個刺してあって1500ウォン(約100円)だった。
一体、なんの肉なのか?
アジュンマは「アンタ、日本から来たんでしょ? なら、口に合わないと思うよ」と決めつけてきた。
そう言われるとよけい食べたくなるのが私の性分。1本取って、串に刺してある肉にかぶりついた。(ページ3に続く)