康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」青山島6/港に到着

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青山島(チョンサンド)は莞島(ワンド)から南に約20キロメートルの距離にある。面積は約42平方キロメートルで、伊豆大島の半分くらいの大きさである。その青山島の港に立ったとき、真っ先に目に入ったのは、入り江に停泊する漁船の先に見えていた小山だった。

青山島の港から見える風景




花札に興じている人たち

小山は正三角形のように秀麗な斜面を持った山で、一枚の絵に見立てた場合、「前に漁船の群れ、後ろに三角の山」という構図は、とってつけたような夕陽なんぞを加えなくても、人を手招きしてくれる郷愁があった。
なんともいえない居心地の良さを感じていたのだが、「青山島」と漢字で書かれた高さ5メールトの石碑が、港の中央に立っているのを見たときは首をかしげた。入り組んだ海岸線を再現したような意味不明の輪郭と、コンクリートに巨大なゴマをまぶしたような色合い……港を見守る三角形の小山と比べれば、石碑は人工的な墓石のようで、かえって旅行気分を興ざめさせるようなところがあった。
再び小山を見る。青葉繁れる山である。恰好の目標なので、まずはその山に向かって歩きだした。
<頂上まで登って港を見下ろしたら、さぞかし眺めがいいだろう>
天下人になったような思いがよぎった。




何軒もの食堂を過ぎ、旅館を過ぎ、何かの営業所らしき建物をいくつか過ぎると、島の周回道路に出た。その道を横切って進むと警察署があった。小さな島のことだから、派出所を一回り大きくした程度の建物である。もちろん、警察署に用事はないから、右に曲がって坂道を上り始めた。
大きな歓声が聞こえる。道端に5人の男たちが座り込んでいた。といっても、みんなで島の将来を熱く語り合っているわけではなくて、花札に興じているのである。またか、という気持ちだが、嫌いじゃないのでそばで見物することにした。
みんな40代から50代。一家を支える働き手ばかりだが、その熱中ぶりを見ていると、今は家族の顔を思い出したくないという感じ。男たちの目の前には、お決まりのように、賭け金がむきだしになっている。
<警察署のすぐそばで大胆きわまりない>
そう思えるが、警察もこんなことをいちいち取り締まっていたら、地元の人たちと要らぬ軋轢を生んでしまうだろう。というより、ここで嬌声をあげている男たちの中に、非番の警察官がいるかもしれない。シャツを脱ぎ顔を真っ赤にして熱くなっている短髪の50代が、意外と署長だったりして……。人は見かけによらぬほうが面白いから。




白熱する勝負をしばらく見ていたが、「これを見るために青山島に来たわけじゃない」と思いなおし、短髪の50代がますます顔を真っ赤にするのを尻目に、再び歩きだした。坂を上っていくと、道が周回道路に合流した。残念ながら、小山の頂上に向かう道はなさそうなので、一旦港に戻ることにした。
(次回に続く)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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