1人暮らしに便利な街
「1人で生活するうえで、東京はソウルよりはるかに便利だった」
そう語る韓国女性。逆に言えば、ソウルは1人暮らしには不便なのだ。
「東京の場合は1人暮らしの人がすごく多いでしょ。そういう生活パターンに世の中が合わせてくれるんです。でも、韓国では、1人暮らしに対する社会の思いやりがあまりないですね」
「たとえば、スイカを売るとき、東京では細かく切り1人用として売っています。ソウルにはそういうものがありませんし、あくまでも家族中心の考え方が主流です。ソウルにも大型のショッピングモールが増えてきましたが、そこに行っても歯ブラシを10個単位で買わなければなりません。1個では買えないんです。ソウルで働く日本の人たちも不便に思っていると思いますよ」
今後はソウルでも1人暮らしが多くなっていくはずだ。時代に応じて、ソウルが東京のように1人暮らしに便利な街に変貌していくのだろうか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。