韓国の屋台で飲むのが好き
日本の焼き鳥とは違って、ただ焼いてあるだけで味はついていない。怪訝そうな顔をしたら、アジュンマが「そこに4種類のタレがあるから、自分の好みのタレをつけて食べるのよ」と教えてくれた。ちょっと辛めの味噌ダレを付けて食べると、とても旨い。
いくら食べても何の肉だかわからなかったが、最後になってようやく気づいた。これは、鳥のハツではないか。シコシコとした弾力ある食感はそうに違いない。
「これは日本ではハツと言うんですよ」
「日本の焼きとりもおいしいからね」
「よく知っていますね」
「息子は旅行会社でガイドをしていて日本語も上手なのよ。よく日本に行くから、日本のことを教えてくれるわよ。そうだ、今、息子の携帯電話に掛けるから、出たら話をしてちょうだいよ」
そう言われたが、一体何を話せばいいのやら……。でも、息子さんの携帯電話は電源が切れていた様子で、応答がなかった。安心したような、ちょっぴり残念なような……。
それにしても、屋台で働く女性たちはバイタリティがある。
私は韓国の屋台で飲むのが好きで、新しい町に行くと、すぐに屋台を探す。そんな屋台を切り盛りしているアジュンマには、自分がなんとしてでも一家の生活を支えるという迫力に満ちている。(ページ4に続く)