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夏こそ行きたい!韓国南部の旅6

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韓国版の忠犬ハチ公

珍島は韓国で済州島(チェジュド)、巨済島(コジェド)に次いで3番目に大きい島で面積は430平方キロメートル。日本でいえば、種子島と同じくらいの大きさである。

道の両脇に「珍島犬」と大きく書かれた看板がやたらと見えるようになった。

珍島犬は天然記念物第53号に指定されていて、国によって保護されている。もともと朝鮮半島に古来からいた犬の種族で、珍島が島であったために、その純粋な血統が残されたのである。

賢い犬で、耳は三角形でつんと尖りながら前にやや傾いている。頭は八角形に近く、尾は短くて太いが、力強く反り返っている。小柄なわりに精悍な体型をしており、飼い主に忠実なことでもよく知られている。




なにしろ、珍島から大田(テジョン)に売られた白い珍島犬が、飼い主を慕って220キロの距離を越えて帰ってきたという実話があるほどだ。その犬が死んだとき、村人たちは忠犬の死を悼み銅像まで建てたという。まさに、韓国版の忠犬ハチ公だ。

私も犬好きだったら、「珍島犬」の看板が出ている店に行って、忠犬の相が顔に強く出ている犬を探すところだが、幼い頃に兄が犬に噛まれて家中が大騒ぎになって以来、私も敬遠する習性がある。

小犬が寄ってくるだけでも腰が引けるほどだから、忠犬の飼い主には到底なれない。ただ漠然と看板を見ているうちにバスターミナルに着いた。

バスを下りて周囲を見渡しても、見えるのは山ばかりだった。当初、バスターミナルは島の一番突端の位置にあると予測していた。島を縦断して行けるところまで行くのがバス路線の使命であると思っていたからだ。

しかし、海が見えないどころか、潮の香りさえしない。意外にもバスの終着地は島のど真ん中であった。(ページ3に続く)

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