康熙奉の「韓国のそこに行きたい紀行」珍島6/珍島アリラン

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観光案内所のアジュンマは息を切らしながら私のところに戻ってきた。「あのタクシーの運転手さんは、私の知り合いなのよ。雲林山房まで乗せてくれるそうよ。下りるとき3000ウォンだけ払ってね。それで話はついているから」。なんとも、ありがたい話だった。ここまでからだを張って面倒を見てくれる観光案内所もそうはないだろう。

雲林山房に到着した




珍島の自慢

60代の運転手さんはとても感じがいい人で、珍島の郷土自慢を盛んに語った。
「珍島では『三つのことを自慢するな』と言われているんだ。一に書、二に絵、三に歌。珍島の人はこの三つが得意なので、たとえ巧くこなしても自慢にならない、というわけだ。特に、珍道のどの村にも名人がいるのが歌だよ。渋い声のアジュンマが有名な『珍島アリラン』を披露してくれるよ」
朝鮮半島の民謡を代表する「アリラン」は、地方ごとに独自の曲があるが、「珍島アリラン」は特に有名である。映画「西便制」でも存分に歌われていたことを、運転手さんの話を聞きながら思い出していた。
やがて雲林山房に着いた。
「ここも珍島の名所だから、ゆっくり楽しんで行ってね」
運転手さんはそう言って、笑顔で送り出してくれた。
雲林山房は、4代続いた山水画の名家の記念館である。




管理事務所の窓口で入場券を買う。念のため、バスの乗り場を窓口の女性に教えてもらおうとしたら、奥から「駐車場の向こうに行けば停留所がありますよ」という日本語が聞こえてきた。私は韓国語で話しかけていたのに、日本から来た者だとすぐにわかったらしい。声の主は70代のハラボジ(おじいさん)だった。
声が太く、ドスがきいていた。
「バスは午後4時半に出ます。まだ1時間以上あるから、ゆっくり見学してください」
そう教えてくれたハラボジは、胸にボランティア活動を示すワッペンを付けていた。少しでも地域の役に立ちたい、というのが信条なのだろう。頭が下がる思いで、ハラボジに礼を言った。
(続く)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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