夏こそ行きたい!韓国南部の旅5

このエントリーをはてなブックマークに追加
DSCF1267

青山島のチリ海岸

うまそうに煙草を吸う人

次に向かったのは、青山島の北西にあるチリ海岸だった。

1キロメートルにわたって続く白い砂浜と、それを見守るように立つ松林。海の水も青く澄んでいて、視覚に入る構図のすべてが絵になっていた。

ここにも『春のワルツ』の撮影に使われた家があった。それは、男性主人公のチェハが少年時代に父と住んだという設定になっていた廃屋だった。

今も、家は全体的に傾いていて、外壁の板がはがれていた。人が住んでいるとは到底思えなかったが、ジェファンさんが何度か声をかけると、中から40代の男が出てきた。昼寝をしていた様子で、まだ寝ぼけたような感じだったが、人が来たのが意外とうれしいようで、玄関先まで出てきた。

男はジェファンさんと知人の消息について話し始めた。私はそばで聞きながら、男が煙草を吸うのを羨ましそうに見ていた。

私自身は煙草を吸わないのに、なにゆえに羨ましかったのか。答はいたって単純で、こんなにもうまそうに煙草を吸う人を見たことがなかったからだ。

男は吸った煙をすぐに吐き出すのが惜しいかのように、息を止めて煙を体内に留め、こらえきれなくなってようやく吐き出した。その合間にも会話を途切れさせないのだから実に器用である。




ジェファンさんが「日本から来た人です」と私を紹介すると、男は薄笑いを浮かべて「この島から日本へ行った人間も何人かいるよね。俺も行ってみるかな」と言った。

一体、どんなふうに暮らしている人なんだろうか。

こんな朽ち果てた家で1人、普段は何をしているのか。

「俺も今はこんな生活だけど、しょうがないよね、自分でそうしたんだから」

目を細めて、男はポツリとそう言った。(ページ3に続く)

ページ:
1

2

3 4 5

関連記事

  1. 追憶の中の韓国紅葉紀行3

  2. 追憶の中の韓国紅葉紀行2

  3. 康熙奉の「韓国に行きたい紀行」済州島1/韓国の最南端

  4. 韓国・南西岸への旅16「青山島を一周」

  5. 追憶の中の韓国紅葉紀行1

  6. 康熙奉の「韓国に行きたい紀行」済州島2/アワビの刺身

  7. 康熙奉の「韓国に行きたい紀行」済州島9/タクシーで済州港に向かう

  8. 追憶の済州島紀行2「トルハルバンの起源説」

  9. 韓国・南西岸への旅5「活魚海産物センター」

PAGE TOP