大事なのは「今このとき」
この『人生の授業』には、「色づいた紅葉は春の花より美しい」というキャッチフレーズが付いている。
ベストセラーになったのは、まさに、中年以降の人たちに安らぎとなる珠玉の言葉があふれているからだ。
いくつか例を挙げよう。
「年を取ると、終わった話をしながら、追憶に浸り、過ぎた歳月を懐かしむ。『あのときが良かった』と思う正にそのときは、果たして幸せだっただろうか。若いときはつらいことが多かったはずだ。過ぎた日々はすべて美しく思えるが、実際にはいつも幸せだったわけではない」
法輪はこう書いていて、過去をなんでも美化するのは、実情にそぐわないと指摘している。
大事なのは「今このとき」であって、思い出の中で美化されていく過去に固執するのは、今の美しさを見逃すことにつながってしまう。果たして、それで幸せなのか、と法輪は問い掛けている。(ページ3に続く)