ケガの功名
デビュー後に順調にスター街道を歩んだペ・ヨンジュンだったが、大きなケガに見舞われてしまう。1997年6月、武術道場で足を骨折したのである。
ドラマ『初恋』で爆発的な人気を得た直後で、本人は意識していなかったかもしれないが、多少の心の緩みがあったのではないか。まさに「好事魔多し」である。しばらく病院のベッドに釘付けになる日々が続いた。
本来、からだを動かすことが大好きなペ・ヨンジュン。ベッドから動けなくなってしまうと、必然的に気持ちは自分の心の中に向かっていく。そのとき、いろんなことを考えたと思う。今まで外に向かって自分を発散させていたのに、逆に自分の内面を深く見つめるようになったのだから……。「自分という存在は何なのか」ということを自問自答したはずだ。身動きできないだけに、本もたくさん読んだ。
本から得られる知的な世界は魅力的だった。ペ・ヨンジュンはベッドの上で夢中になって読書に明け暮れ、いつしかそれが習慣になった。今、彼からにじみ出ている教養は、数多くの書籍から得られたものだ。そういう読書習慣が身についたという意味でも、ケガで入院したことは無駄ではなかった。自分の内面を見つめようとする姿勢が生まれたという意味でも、まさに「ケガの功名」になったのである。
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