韓流20周年特集/ペ・ヨンジュンは冬ソナをどう演じたのか5「深夜の海岸」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

『冬のソナタ』の第18話として放送された場面の撮影が続いている。夕方にチュンサンとユジンが海岸近くの市場へ行くシーンが忘れられない。本当に二人は楽しそうに、残り少ない時間を楽しんでいた。

写真=Pan Entertainment




チュンサンの怒り

市場にいた二人。
チュンサンが食べ物を買いに行き、ユジンは約束した場所で待っていた。しかし、ある年配の女性に荷物を持ってほしいと頼まれて、その場所を離れてしまう。戻ってきたチュンサンはユジンがいないことに驚き、あわてて市場の人波の中で彼女を探す。
彼には、この旅がユジンとの最後の思い出、という気持ちがある。それだけに、余計にユジンがいないことにあせり、不安でいっぱいになる。それは、ユジンのいない毎日を早くも暗示する瞬間であった。
この場面は、NHKで放送された編集バージョンではカットされていた。しかし、NHKの四度目の放送で韓国オリジナル版の字幕バージョンを放送しているので、その中で見た人はかなり多いだろう。
ようやくユジンを見つけたチュンサンが、彼女に向かって珍しく怒る。
「僕がいなかったらどうするんだ……」




声を荒らげながらも、自分が去ったあとのユジンを心配している様子を、ペ・ヨンジュンはやりきれないほどの切迫感を持って演じていた。
そして、きわめつけの名場面。ユジンが寝たあと、深夜の海岸に1人立ったチュンサンは、ユジンとの思い出の品々を次々と海に向かって投げつける。
そのときのチュンサンの悲しみを、ペ・ヨンジュンは明日世界が終わってしまうかのように演じた。
感情表現という意味では、このときの演技がペ・ヨンジュンのキャリアの中で特に難しかったのではないか。
その後も、『スキャンダル』や『四月の雪』で感情の表し方が難しい演技があったが、すべてを考え合わせても、『冬のソナタ』で演じた深夜の海岸の場面にこそ、俳優ペ・ヨンジュンの真骨頂が現れていたように思える。
それは、多くのファンと共通する点ではないだろうか。だからこそ『冬のソナタ』の第18話は、ファンにとって忘れられない回になっているのでは……。
あのとき、ペ・ヨンジュンがチュンサンになりきって深夜の海に捨てた未練は、誰の心にもある、叶わぬものへの限りない愛着だった。




それさえも捨ててチュンサンは一体どうやって生きていくのか……劇中に入りこんだかのように、多くのファンの心配は尽きなかった。
(次回に続く)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

韓流20周年特集/ペ・ヨンジュンは冬ソナをどう演じたのか1「冬ソナの直前」

韓流20周年特集/ペ・ヨンジュンは冬ソナをどう演じたのか2「恩師の作品」

韓流20周年特集/ペ・ヨンジュンは冬ソナをどう演じたのか6「情を大切にする」

必読!「ヒボン式かんたんハングル」

「韓流ライフ」というジャンルの中に、「ヒボン式かんたんハングル」というコーナーがあります。ここには、日本語と韓国語の似ている部分を覚えながら韓国語をわかりやすくマスターしていく記事がたくさん掲載されています。日本語と韓国語には共通点が多いので、それを生かして韓国語の習得をめざすほうが有利なのです。ぜひお読みください。

ページ上部へ戻る