人の名を呼ぶときのコリアンスタイルは?

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病院の待合室など特定の場所以外では、日本で相手をフルネームで呼ぶことはあまりないのですが、韓国ではいろいろな場面でフルネームが使われます。それは、韓国には同じ名字の人があまりに多いからです。

写真=植村誠




「名字+さん」は言わない

韓国には金(キム)、李(イ)、朴(パク)など、同じ名字を持つ人がたくさんいます。わかりやすくいえば、同姓ばかりなのです。
そういう事情があるので、レストランが混雑していて「待ち」の予約を入れるときでも、必ずフルネームを伝え、店員はそのフルネームでお客を呼び出します。
また、ビジネスの世界で役職のある人は、「金課長」や「朴部長」のように「名字+役職名」で呼ばれます。
韓国は序列社会なので、役職名はとても尊重されるのです。
そして、相手が目上であれば、役職のあとにかならず「ニム(様)」を付けるようにします。
役職がない社員は「フルネーム+シ(さん)」で呼ばれることが多いようです。ちなみに韓国では「名字+さん」という呼び方はしません。これだと誰のことだかわからず、かえって相手に失礼になってしまうからです。




ですから、韓国に行ったときに「金さん」など「名字+さん」という呼び方をしないように注意しましょう。
親子や友人同士、恋人同士など、親しい間柄では名前だけで呼ぶのが基本です。
しかし、あえてフルネームで呼ぶことにより、自分の特別な感情を強調する場合があります。
たとえば、お母さんや学校の先生が子どもを叱るとき、わざとフルネームで呼ぶことがあります。これは非常に効果的な手法で、名前だけで呼ばれたときよりも、子どもはその深刻さを感じて緊張するようです。
また、友人や恋人同士でも同じ効果があります。『冬のソナタ』の高校生時代でも、ユジンが放送部の活動をサボったチュンサンを叱る場面で「カン・ジュンサン!」とフルネームで強く呼んでいました。そこにはユジンの強い感情がこもっていました。
この他にも深刻な話をするとき、相手を激励するとき、大事なことをお願いするとき、相手の気持ちを確かめるときなど、特別な気持ちを表現する場面でフルネームがよく使われます。




感情表現の豊かな人が多い韓国ですから、フルネームが使われることも多く、その習慣がドラマにもひんぱんに登場しています。

文=「ロコレ」編集部

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