『二十五、二十一』で描かれた韓国のIMF危機とは何か(第4回)

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経済危機の克服を通して、韓国の財閥地図は大きく様変わりした。まず、10大財閥に名をつらねて栄華を誇ったはずの大宇、双龍、起亜が解体されていった。特に、一介のサラリーマンから巨大財閥のオーナーにまで上り詰めた大宇の会長の金宇中(キム・ウジュン)は、巨額の債務の責任追求を恐れて海外に逃亡する有様だった。

ペク・イジンは父親がIMF危機で破産したために借金取りに責め立てられた




サムスン電子の成長

財閥中の財閥と言われたナンバーワンの現代も、後継者争いの渦中に分裂した。創業者からそれぞれ事業を受け継いだ息子たちは一つにまとまることができなかったのだ。
一方で、経営の改善によって成果をあげる財閥も少なくなかった。
サムスンは1997年末の段階で負債比率が約580%もあったのに、4年後には80%以下にまで下がった。LGも、財務体質の強化に励み、負債比率を大幅に減らしている。むしろ、経済危機を通して各企業が本来の「収益を優先させる体質」を取り戻したケースが多かった。
ただし、生き残りをかけて、企業が手っとり早く選択した道は人員の大幅な合理化であ
った。
かつて韓国の労働界では、日本と同様に「年功序列」「終身雇用」という考え方が当たり前だった。社員は滅私の精神で会社に忠誠を尽くし、その褒美として会社から定年までの雇用を保証されていたのである。




しかし、「年功序列」も「終身雇用」も吹っ飛んだ。ここでもまた経済危機の克服が「錦の御旗」になった。
赤字体質からの脱却に死に物狂いとなった企業は、徹底した雇用調整に乗り出し、次々とリストラ計画を実行に移した。
「デキの悪い社員の面倒は見られない」
一見すると薄情なのだが、仮に90%の社員の雇用を確保するためには、勤務評定の低い10%の社員にはやめてもらうしかない、という論理がまかり通った。
結局、IMFから緊急融資を受けるという深刻な経済危機の中で、政権は国家を破産状態から救うために大胆な構造改革を断行した。企業の側も、生き残りをかけて必死の再建策に取り組んだ。その中で随一の成果をあげたのがサムスン電子である。
特に、2002年のサムスン電子の決算は、世界を驚かせる黒字幅となった。前年と比べて売上高を25%も伸ばして、総額で40兆5115億ウォン(約4兆512億円)に達していた。
「世界的にIT事業が不振に陥る中で、信じられない数字だ」




アメリカや日本の同業者がこぞって驚いた。
サムスン電子の主要部門は、半導体、情報通信、デジタルメディア、生活家電であるが、すべての部門で安定的な黒字を計上し、磐石の企業体質を示している。この中でも、半導体と携帯電話機の収益率が凄まじかった。
(次回に続く)

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

『二十五、二十一』で描かれた韓国のIMF危機とは何か(第1回)

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