真の感動は日常の中にある/マイ・ディア・ミスター礼賛10

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視聴者を感動の渦に巻き込んだ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』は、名場面や名セリフを挙げたらキリがない。今回は本作が伝えたかったメッセージを象徴するかのような主人公の祖母が遺した名セリフをご紹介したい。

写真=韓国tvN『私のおじさん』公式サイトより




祖母の言葉

『マイ・ディア・ミスター』は不毛な人生を送ってきた若い女性と彼女を支える大人たちとの温かい絆を描いたヒューマンドラマで奇跡の大傑作として知られている。2018年の放送当時から時が経った現在でも着実にファン層を拡大している名作だ。
『マイ・ディア・ミスター』の主人公イ・ジアン(IU)は幼い時から耳の不自由な祖母ボンエ(ソン・スク)と二人きりで暮らしていた。夢や希望を持つことも許されず、稼いだお金は借金返済と祖母の世話に充てられる。そんなジアンが上司パク・ドンフン(イ・ソンギュン)と出会ったことで、人として幸せになる道標を授けられるようになる。
ドンフンとジアン、そしてボンエとの不思議な絆も本作を名作に導く一端を担っていた。
ドンフンがジアンの辛い生い立ちを理解したのは、祖母ボンエに月を見せに行くジアンを手助けした時からだった。




ドンフンはジアンに法律上ボンエの保護義務がないことを教え、法的支援の手続きまで傍にいる大人として手助けをした。「今まで教えてくれる大人がいなかったんだな」というドンフンのセリフは、人間関係が希薄になっている今の世の中への警鐘にもなり得るだろう。
ボンエはジアンと自分を救ってくれたドンフンに対し生前感謝の言葉を伝えていた。さらに、ボンエはドンフンに直接伝えていた言葉とは別にジアンに尊い遺言を遺していたのだった。それは最終回のジアンの回想シーンで明らかになる。
「どんな縁も全て不思議で尊いもの幸せに生きることが恩返しになる」
ボンエのこの言葉は本作が伝えたかったことの一端であり、深く心に刻みたい言葉だ。
この世の全ては縁でできている。出会ってよかったと思われる善良な大人になれたら理想だがそれは容易なことではないのだろう。それでも、そういう気持ちを思い起こさせてくれた本作『マイ・ディア・ミスター』に出会えたこともきっと意味のある縁なのだ。
余談ではあるが、ボンエ役を演じたソン・スクは2020年KBS年末演技大賞で「ドラマスペシャル~お出かけ(原題)」という作品で連作単幕劇賞を受賞している。その際のコメントがとても印象的だったので一部抜粋してみたい。




「この席をお借りしてKBSにお願いしたいことがあります。KBSはこれまで質の高い単発ドラマを多く制作してきた印象がありますが、最近はそれが減ってきているように思います。KBSができることは意味のある質の高い単発ドラマをたくさん制作することではないでしょうか。今後はそれを切にお願いしたいしたいと思っております」
局側にしたら耳の痛い言葉であっただろう。晴れの舞台でそう発言したソン・スク自身にも相当の覚悟があったに違いない。近年『マイ・ディア・ミスター』をはじめ他局の意味のある作品に多数出演しているソン・スクだからこそ言える忌憚のない助言だったように思う。
『マイ・ディア・ミスター』は稀にみる大傑作で魅力を語り出したらキリがない。次々に新しいドラマが生まれても、このような作品は色褪せることなく人々の心の中に残っていくのだろう。真の感動は何気ない人々の何気ない日常の中にこそあるのだ。『マイ・ディア・ミスター』がこれからも多くの人に見てもらえるよう心から祈りたい。

文=朋 道佳(とも みちか)

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