宮廷料理の成り立ち4「スラサンの伝統」

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女優のイ・ヨンエも、「宮廷女官 チャングムの誓い」の撮影に際して、宮中料理研究院で神仙炉の作り方を学んだ。「神仙炉の場合、材料をただ鍋に入れるだけではなく、色彩や角度のバランスを考慮しなければなりません」と彼女は言っていた。




食文化に大きな足跡を残した

イ・ヨンエはさらにこう言っていた。
「食材一つ一つに意味が込められているということを学びました。宮中料理を通じて、その国の食文化がどのように形成されているのかを知ることができます。国王のスラサンは、その時代の社会状況を映し出してくれる鏡のようなものなのです」
彼女が料理の役割を理解し、それを体現できる女優であったことは間違いない。
さて、他の特選料理を見てみよう。生きた鯉と幼い鶏を使った最高級の健康食として知られる「ヨンボンタン(龍鳳湯)」は、スタミナをつける料理としても名高い。言い伝えによれば、これを食べると90歳の老人でも子を得ることができるとさえ言われていた。また、「いちじくの花袋」も宮廷料理の定番であった。いちじくの実は朝鮮時代の医学書「東医宝鑑」においても貴重な薬用果物とされており、血圧を下げ、胃を健やかにし、滋養を与え、便秘を解消し、活力を回復する効果があるとされていた。中国の医学書「本草綱目」においても、腸の働きを良くし、喉の痛みを和らげる効果があると記されており、抗炎症剤としても使用されていた。




このように、朝鮮王朝時代のスラサンは、単なる食事を超えており、健康と長寿、美容にまで気を使った高度な食文化であったことが分かる。これは当時の国王とその側近たちが、食を通じて自らの体を徹底的に管理し、病気に対しても予防的な対策をとっていたことを示している。国王が食べる料理は、彼の健康状態やその日の気候、四季の変化に応じて調整され、繊細かつ計算されたバランスで提供されていたのである。
このスラサンの伝統は、今日においても韓国料理として色濃く受け継がれている。例えば、サムギョプサルやビビンバ、キムチなどの一般的な韓国料理においても、バランスの取れた栄養摂取と健康に良い食材の使用が重視されている。朝鮮王朝時代のスラサンの影響は、韓国の食文化全体に大きな足跡を残しているのである。

構成=「ロコレ」編集部

宮廷料理の成り立ち1「王族の食事」

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