かつて、韓国に住む多くの日本女性たちを取材したことがある。彼女たちの話には生活感がひしひしと感じられて、とても参考になった。そうした話の中からいくつかを誌上で再現してみよう。
韓国で働くということ
通勤時の混雑ぶりは東京もソウルも変わらない。
ソウルの旅行会社に勤務していた女性がその事情を語ってくれた。
「朝の通勤ラッシュでも、人がどんどんぶつかってくるのに謝りもしないことには驚きました。最初は本当に嫌だったけど、徐々に慣れました。最近はソウルのほうが性に合うと思うようになってきた。たとえば、私も地下鉄で相手の足を間違えて踏んでしまうときがあるけど、韓国の人はちっとも痛がらず、知らん顔してそのまま行ってしまいます。日本だったら絶対に相手が嫌な顔をするのに韓国では平気なんですよ」
物価の高さを指摘する人もいた。
「ソウルの物価は高いですね。特に外食産業が高く、外で食事ばかりしているとアッという間にお金がなくなってしまいます。日本と違って給料もどんどん上がるのですが、同じように物価もすごく上がるんですよ。それだけに、かなり切り詰めないと、やっていけない感じですね」
それでも、韓国で働くと得られるものが多い。
「ソウルで働く以上、語学力がないと駄目なのは当然としても、同時にネットワークをできるだけ広げないといけませんね。人脈がない人は韓国では生き残れません」
語る言葉にはとても説得力があった。
構成=「ロコレ」編集部