第5師団の一番の目的は、北朝鮮の奇襲に備えるということだ。それだけに、常に北側を注視して、警戒と偵察に全力を注いでいる。第5師団が韓国陸軍の中でも最強の1つと言われているのも、その任務があまりにも重要だからだ。
冬はとても寒い
論山(ノンサン)の陸軍訓練所で新兵訓練をした場合は、規定の5週間の訓練を修了すると、各地の師団に移って転役(除隊のこと)するまで同じ場所で軍務に励むことになる。
つまり、訓練する場所と実際の軍務を行なう師団はまったく別のところにあるのだ。
しかし、最前線の新兵教育隊に入った人は事情が違ってくる。
たとえば、第5師団のようにとても重要な任務を帯びている師団で新兵訓練を受けると、そのまま同じ師団に所属する場合が非常に多い。
つまり、「兵役の最初から最後まで最前線」というわけだ。身がひきしまる思いでいることだろう。
なお、第5師団がある漣川郡の冬は、とてつもなく寒い。
零下20度以下になることもよくある。
「韓国で一番寒い場所」
そう言ってもいいかもしれない。
それだけに、冬の訓練の辛さは言葉にできないほどだ。
しかし、環境にはかならず慣れる。みんな、そうやって過ごしてきたのである。
また、第5師団は山間部にあるので土地の起伏が大きい。訓練もアップダウンがある地域で行なうことが多いが、その分、体力が鍛えられる。
ただし、怪我に十分注意する必要があるだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)