『アルゴン』はジャーナリストたちの熾烈な戦いの日々を描く社会派ドラマの名作

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フェイクニュースが溢れる世の中で私たちは何を見て何を信じればよいのか。目にする報道が真実か否かわからずとも否応なしに情報の波に飲まれざるを得ない昨今、オススメしたい韓国ドラマがある。それはNetflixで配信中の『アルゴン』だ。




キム・ジュヒョクが最後に残した名作

『アルゴン』はフェイクニュースが溢れる世の中で、隠された真実を解明するために奮闘する、ある報道チームの熾烈な戦いの日々を描いた社会派ドラマである。
本作はキム・ジュヒョクとチョン・ウヒ主演で2017年9月に韓国tvNで放送された作品。全8話という短い中にも伝えたいメッセージが端的に込められている社会派ドラマの名作だ。続編が熱望された作品でもあったが、主演のキム・ジュヒョクが2017年10月に交通事故でこの世を去ったことにより続編が見られなくなった。この事実がこの上なく残念である。
このドラマは「アルゴン」という報道番組を舞台に描かれている。「アルゴン」のメインキャスターはキム・ジュヒョク扮するキム・ベクジン。出世欲よりも真のジャーナリズムを追究し記者としての使命に懸けている男だ。仕事に命を懸けているがゆえに自分の妻の終焉にも立ち会えず、思春期の娘との関係も危うい。そんなチームアルゴンに新人記者イ・ヨンファ(チョン・ウヒ)が加わり、ベクジンとヨンファを軸にドラマは展開されていく。さまざまな圧力と闘いながらアルゴンは日々真実の報道をしようとチーム一丸となって臨むのだが……。




この作品の秀逸なところは、単に正義だけを振りかざして終わるストーリーではない点だ。
”事実を元に徹底的に調査を重ね国民に真実を伝えるジャーナリスト” そのような姿だけを描くのならば他にも似たような作品はあるだろう。
主人公ベクジンはあることから自分の知らないうちに大きな過ちを犯していたことに気付く。たとえ、自分の信じた道を貫いて懸命に努力したとしても100%完璧な人間などいないのだ。もしも過ちに気付いたら真摯に過ちを認めることの大切さをベクジンに気付かされる。
また「世に溢れているニュースはただの判断材料にしか過ぎないこと」「100%正しい記者はいないこと」「伝える側が英雄になったら人々は簡単に騙されること」など情報過多の現代に必要な教訓がこのドラマにはとても上手く描かれているように思う。
「間違った事実を伝えたのなら、それを正すのもジャーナリストとしての仕事です」というベクジンのセリフに心を打たれた。自分に都合のいいものだけを見ようとして事実の本質を見ていなかったと反省するベクジンの中に、人としてあるべき姿をも見たような気がする。




ドラマのタイトルである『アルゴン』とは不活性ガスアルゴン(元素記号はAr)のこと。劇中で「真実が酸化されるのを防ぐために」と言及しているようにこの作品に相応しいタイトルである。キム・ジュヒョクが最後に残した名作『アルゴン』は必ずや多くの人の心に届く作品になることだろう。

文=朋 道佳

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