『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』は一話から泣ける感動作

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タン・ジュンサン×イ・ジェフン主演の韓国ドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』はアスペルガー症候群の主人公が遺品を整理して死者の思いを遺族に届ける感動ストーリーで、Netflixで配信中だ。




温かい気持ちになるドラマ

見始めて15分で泣かされるとは思わなかった。亡くなった人の思いを知ることは、その人への感謝の気持ちを深くする。力強く生きていかなければならない使命を主人公と共に心に刻み込みたくなった。
『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』は、『愛の不時着』で最年少の北朝鮮兵士・ウンドン役を演じたタン・ジュンサンと『シグナル』で一躍脚光を浴びたイ・ジェフン主演の韓国ドラマ。二人が遺品整理士役に扮し、死者の思いを遺された遺族に届ける感動の物語だ。
本作は、韓国の遺品整理士であるキム・セビョル氏のノンフィクションエッセイ『去った後に残されたものたち』をモチーフに、映画『犬どろぼう完全計画』のキム・ソンホ監督がドラマ化した作品である。
アスペルガー症候群のハン・グル(タン・ジュンサン)は父ハン・ジョンウ(チ・ジニ)と遺品整理会社営んでいる。心優しい父ジョンウは、一人息子のグルを心から愛していた。遺品整理会社とはその名のとおり、亡くなった人の部屋を整理し綺麗に清掃する業務だ。




しかし、ジョンウは、自らの仕事を清掃業とは捉えていない。その証拠にジョンウは心から故人を思いやり、遺品整理を“故人の最後の引っ越し”と呼ぶ。屋号である“Move to heaven”にはジョンウのそんな思いが表れている。
本作は、予想外にも第一話の序盤から主人公の父親役であるチ・ジニに泣かされる。
最近のヒット作の中では『梨泰院クラス』の主人公パク・セロイ(パク・ソジュン扮)の父親役を演じたソン・ヒョンジュにも泣かされたが、本作でのチ・ジニ演じる父親像にも開始15分で心が震えた。まだ主演のイ・ジェフンも登場していないのに、すでに満腹状態である。このまま、素敵な親子愛を見ていられるのかと思いきや、ある日突然、父ジョンウ(チ・ジニ扮)が急死してしまうのだ。
父の死後、グルの後見人になったのはジョンウの弟サング(イ・ジェフン)だった。前科者のサングがグルの後見人に相応しいかどうか、弁護士によって三か月のお試し期間が設けられる。グルはサングや近所の友人ナム(ホン・スンヒ)と共に遺品整理会社を継続し、故人が生前に伝え切れなかった思いを遺族に伝えていくことになる。
グルと共に遺品整理の仕事をしながら、前科者だったサングが少しずつ変わっていく様子も見どころの一つ。サング役を担ったイ・ジェフンは、本作のシナリオを読みながらずっと涙を流していたという。




「私はハン・グル、遺品整理士です。あなたの最後の引っ越しを始めます」という作業開始の言葉を合図に、二人は故人が残した遺品を通して故人のこれまでの人生を紐解いていく。この作業開始の言葉は、父ジョンウが生前グルに教えた作業ルーティンの一つだった。そして、この言葉こそが本作の一番のキーワードになっていて、エンディングには更なる感動が待っている。
また、本作には遺体そのものが出てくることはないのだが、ときには目を覆いたくなるようなリアルなシーンが登場する。リアルな描写だからこそ、グルの真剣さが伝わってくるのだ。どんな現場に出くわそうとも、グルはまっすぐな気持ちで遺品と向き合う。そして、そこから故人の本当の思いを汲み取っていく。
『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』は温かい気持ちになる感動作だ。純粋な演技力が光るタン・ジュンサンは今後どんな俳優に成長していくのだろうか。これからが楽しみな俳優の一人だ。

文=朋 道佳

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