韓国ドラマには、それが現代劇であれ時代劇であれ、悪女がひんぱんに出てくる。彼女たちは嘘をつき、人を陥れ、自分の利益に固執する。そんな悪女たちが一番冷酷になるのが、血がつながっていない身内への仕打ちである。
血がつながっていない身内に冷酷
たとえば、夫が死んだときに夫の連れ子を文無しにして追い出す、なんて当たり前。自分がお腹を痛めて産んだ子供を守るためなら、「義」がつく親、兄弟、子供を徹底的に排除する……そんな場面を描いた韓国ドラマが今まで多かった。
「これほどの悪女がいるのか」
ドラマの話なのに、視聴者はあまりに感情移入しすぎて、架空の悪女を現実の存在のように錯覚してしまう。
そうなると、ドラマの人気はグッと上がってくる。韓国ドラマが執拗に悪女を登場させるのは、情にもろい韓国の視聴者たちの感情を逆撫でにして、「怖いもの見たさ」を増幅させるからかもしれない。
血がつながっていない身内に冷酷、と言えば、歴史的に文定(ムンジョン)王后の悪事がよく知られている。
彼女は11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室だった女性だ。現在、NHKの総合テレビで放送中の『オクニョ 運命の女(ひと)』にも登場しており、悪女ぶりが目立っている。
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文定王后とは誰なのか?『オクニョ 運命の女(ひと)』の登場人物(前編)