親の意識の違い
アジュンマたちはこう言った。
「私はこの商売をやっていて、息子(あるいは娘)を外国に留学させたよ」
学歴偏重の韓国では、親はこぞって子供たちがいい大学を出てエリートになることを心から願う。
店を経営している人や職人にしても、「後を継がなくていい。それより必死に勉強していい大学に入ってエリートをめざせ」と口がすっぱくなるまで子供に言う。
そういう風潮があまりに強くて、韓国には創業が古い老舗がほとんどないし、職人の技術がなかなか子供に伝承されていかない。
日本では、「子供が家業を継ぐ」というと喜ぶ親が多いが、韓国は違うのである。
かつて私が韓国大使館の人と夕食をともにしたとき、日本語の達者な人が「老舗」の意味をわからなかったことに驚いた。それほど韓国の人には「老舗」に対して馴染みがないのかも。
かくして、韓国から来た友人は創業が古い老舗の看板を見てビックリしてしまったのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)