親子で紙幣の肖像画になった
本来なら、好きな芸術をとことん究めたかったはずなのに、申師任堂は自分の欲を抑えて、親孝行と内助と教育に人生を捧げた。
死期が迫ったのは48歳のときだった。
彼女は夫にこう頼んだ。
「私が死んでも、あなたは絶対に再婚しないでください」
この願いは当時として異例だった。妻に先立たれた夫は新しい妻を迎えるのが一般的だったからだ。
申師任堂は子供たちの将来を考えていたのだ。子供が継母とうまくいかない例は山ほどあった。それで、彼女は夫に特別な願いを託したのだ。
そんな申師任堂の三男が儒学の大家の李栗谷(イ・ユルゴク)だ。彼は今でも5千ウォン札の肖像画になっている。
親子で紙幣を飾るという世界でも珍しいケース。それほど申師任堂の親子は韓国でも特別なのだ。
その故郷の江陵で開催されたオリンピック。改めて申師任堂のことを思い浮かべた韓国人が多かったことだろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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