大国に囲まれる不運
高麗王朝を倒して1392年に朝鮮王朝を創設した李成桂は、「朝鮮」という国号を決めるときにも明の意向を窺うほど大国に気を遣っていた。
彼は、恐ろしい中国がその気になれば、朝鮮半島が一気に呑みこまれてしまうことを骨の髄まで知っていたのである。
それゆえ、朝鮮王朝の前期は、明に対して常に臣下の礼を取っていた。朝鮮王朝には、そういう歴史があったのだ。
現代も、韓国の地政学的な立場は変わらない。中国とロシアと日本に囲まれていて、その存在に敏感にならざるを得ない。
特に、歴史的に見れば、中国とは陸続きであったために常に攻め込まれてきた。有史以来800回以上も攻められているという説もあるほどだ。
海に囲まれていた日本は、防衛上では地理的な恩恵を十分に受けてきた。しかし、朝鮮半島は違う。
民族の生き残りをかけるためには事大主義もやむを得なかったのであり、それは現代も状況は変わっていない。(ページ3に続く)