視聴率に一喜一憂
中堅の俳優がこう語っている。
「確かに、最近は外部の制作会社が大いに力を発揮しています。しかし、外部の制作会社と言っても、元はテレビ局にいた有名なPDなのです。彼らが退社して制作会社を立ち上げているわけですが、人脈をフルに使って制作しているのが現実です。たとえば、制作のときにはいろんな機材が必要になりますが、最初は資金がないのでそれをツケで使います。『制作費が入ったらツケを払うから』というケースが多いんです。しかし、思ったほど制作費が集まらない場合には、借金を返せないという現実も生まれてしまいます」
こういう言葉を聞いていると、現実はつくづく厳しいと言わざるをえない。
確かに、各テレビ局では外部の制作会社が撮ったドラマを放送する割合が増えているが、そのドラマの人気が出るかどうかは予測不可能である。
制作会社の側からすれば、成功すれば大きな利益を得られるが、失敗した場合には莫大な借金を抱えたり、次に作品を撮る機会に恵まれなかったりする。つまり、外部の制作会社は、綱渡りのような経営を強いられるのだ。
結局、制作会社の経営者は視聴率に一喜一憂し、常にハラハラドキドキの心境になる。その切羽詰まった状況の中から、数々の大ヒット作が生まれているのも事実。人気ドラマの裏には、涙ぐましい努力を続ける制作会社の存在があるのだ。
文=「ロコレ」編集部