心地よいマッコリの酔い
祭祀が終わると、墓の周囲で野宴の準備となった。先祖に捧げたものを全員で楽しくいただこうというわけだ。特に、蒸かした鳥肉をナタでぶつ切りにしている光景がそこかしこで見られた。
私は、ヤカンに入ったマッコリ(にごり酒)をお椀になみなみと注いでもらった。米で作った韓国の伝統的な酒で酸味がある。濁りかたにも手作りの感じがよく出ていて、粗野な感じも野宴によく似合っていた。飲んでみると、アッサリしていて酸味が舌に心地よかった。
みんな、顔が赤く染まっていい色になっていた。マッコリの酔いが、血液を通してからだの隅々まで行き渡るようだった。その心地よさを失いたくなくて、勧められるままにさらなる杯を重ねた。
紅葉が美しい秋の1日、友鹿里の人々が自分の先祖を今も敬っていることがよくわかった。
(次回に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)