朋道佳のイチオシ6『一理ある愛』

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わかっていない夫

「いったい俺が何をしたんだ!?」

「俺のどこが悪いんだ!?」

と、ヒテは嫉妬にかられながら、悩みます。

イルリは一言、

「あなたにはわからないわ」と言い放ちます。

そう、悪いのではなく、わかっていないのです。




まじめで誠実で何一つ悪いところもない夫、しかもやさしい。

ただ、“わかっていない”ということをわかってないのです。

男性の皆さんは“なんじゃそりゃ!?”と言いたくなるかもしれませんが、女性としては、よく理解できる部分なのではないでしょうか。

この作品の中では、3人の恋愛模様の他に、義母の認知症という大きな題材があります。ヒテの母親が認知症になり、あらぬことかジュンを若き日の夫だという錯覚に陥るようになってしまいます。

そして、自分の夫の姿を見ても“よそのおじさん”にしか見えないのです。医者は「ご主人を認識できないのは、何か思い出したくないほど記憶から消したいことがあるからなのでは……?」と言います。
(ページ4に続く)

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