師団の軍楽隊員は25人前後
実技試験はあるのだが、技量がプロ級である必要はない。そこそこに楽器ができれば、「あとは練習して上達すればいい」という考え方があり、ある程度の技量があれば、そのまま軍楽隊に編入されるケースが多い。
要は、師団に所属する軍楽隊の楽器別の欠員状況によるのである。ギターの隊員が少ないとなれば、優先的にギターの隊員を入れなければならないので、多少弾ければ「はい合格」となるケースもある。
このあたりが、A級軍楽隊・B級軍楽隊と根本的に違うところである。
新兵訓練期間は5週間なので、その間に軍楽隊員としてふさわしいと判断されれば、新兵訓練終了後にそのまま師団の軍楽隊に配属される。
ユンホの場合も、「打楽器の軍楽隊員」として第26師団の軍楽隊に入った。
各師団の軍楽隊員は25人前後によって構成される。
さらに、5~7人くらいの分隊に分けられ、分隊ごとにそれぞれの生活館(兵舎のこと)で暮らすことになる。
軍楽隊の隊長は、階級でいえば中尉から少領(少佐)くらいの職業軍人が担当する。職業軍人といっても、音楽大学を出ているとか専門的に音楽を学んだ人である。この軍楽隊長に認められれば、軍楽隊員として順風満帆に兵役を履行できるのだが……。
(次回に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)