俳優は自分を変化させられる
ペ・ヨンジュンが扮したのは浮気者の退廃貴族。それまで演じてきた役とあまりに違うので、周囲は大いに戸惑ったのだが、ペ・ヨンジュンは意に介さなかった。
「私は挑戦してみたかったんです。その気持ちが強かった」
この言葉の中に、ペ・ヨンジュンの役者魂が込められている。似たような役を断り、俳優として勝負に出たのである。
『スキャンダル』の撮影前にペ・ヨンジュンは30歳になった。『冬のソナタ』の成功によって、自信らしきものも芽生えていた。
「私は演じ切れないキャラクターはないと思っています。たとえ私が経験していないことでも、間接的な体験はできます。その体験を通して自分の内面でキャラクターを作っていくことは可能でしょう」
こう語った彼は、朝鮮王朝時代の退廃貴族を演じることに幸せを感じた。撮影用に髷(まげ)を結うことはあまりに痛くて苦痛だったが、それ以外は“未知なる荒野”を開拓するような充実感を味わった。
「俳優の利点は、自分を変化させることができることではないかと思うんです。自分の中に潜む何か……。誰にでも多面性がありますが、それを演技として表に出し、より自分を高めることができます」
幸いに、『スキャンダル』の演技がとても好評だった。(ページ3に続く)