第18回 外で物を売る人々
売る側の商魂がたくましい
ソウルは、どこでも路上販売が盛んな街である。
人が集まれば、そこに臨時の店ができて、呼び込みの声がこだまする。食べ物の露店が特に多いが、その他にも服、カバン、CDなどの定番商品が路上の台に積み重なっている。時間が余ったときには、そういう露店を見てまわるのも楽しい。
いつも感じるのは、商魂がたくましいということだ。
「これでメシを食っているんだ」
売る側に、生活感まるだしの迫力がある。
冷やかしのつもりが、用もない物をつい買ってしまうのも、売る側に「何がなんでも!」という迫力があるからだ。
客は、商品だけでなく、心意気を買うこともよくあるのだ。
路上ではないが、地下鉄の車内でも、売る側はさまざまに工夫を凝らす。
雨がポツポツと降り始めたと思って地下鉄に乗ったら、もう車内に傘を売る人が現れたのにはビックリした。タイミングが良すぎる。たとえ、天気予報をよく知っていたとはいえ……。
迷わず傘を買ったのは言うまでもない。(ページ2に続く)