ヒョンビンが乗り越えた海兵隊の訓練(前編)

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厳しさが増す応用訓練

訓練1

上陸作戦の訓練が続く(写真/韓国海兵隊公式サイトより)

実際に海兵隊の軍務は大変厳しいが、それは新兵訓練においても際立っている。陸軍の新兵訓練は5週間だが、海兵隊は7週間にわたって行なわれる。それでは、その新兵訓練がどういう風に行なわれるかを具体的に見てみよう。
海兵隊に入隊する人は、まず浦項(ポハン)にある新兵訓練所に入所する。
それからは、細かい身体検査を受けてから支給品を受け取り、軍人としての精神を叩きこまれて、制式訓練(軍人としての敬礼や歩行を身につけるための訓練)を徹底的に受ける。
そこまでは、陸軍でも海軍でも軍人の基礎ということで同じなのだが、海兵隊の場合は応用訓練になってから厳しさが如実にあらわれる。




海兵隊で専門的な訓練というと、まずは水陸両用車訓練である。
海兵隊の任務は、海から上陸して敵地を奪還することだ。当然ながら敵は完全な防衛態勢を敷いて海兵隊を迎え撃つので、どんな上陸作戦も多大な犠牲を強いられる。それだけ、作戦として非常に難しい局面が多いのだ。
よほど優れた軍隊でないと作戦は成功しない。そこに海兵隊の厳しさがある。
海兵隊員は素早く水陸両用車に搭乗し、船を海岸に向けて進め、陸地に到達した瞬間に各隊員が上陸しなければならない。当然ながら敵は待ち受けているので、雨あられのように銃弾を受ける。そこが、生死をわける一番重要な局面であり、生き残るために敵の銃弾をかいくぐり、上陸したらすぐ前に向かって突撃しなければならない。
このとき、砂浜にからだを伏せたのちに立ち上がって前進する、という一連の動作を繰り返すことが不可欠だ。それは体力を大変消耗する訓練であり、海兵隊の新兵を最初に待ち受ける最大の関門となる。




それと同時に行なわれるのがゴムボート訓練である。海岸の地形によって、水陸両用車が上陸不可能な場所がかなり多い。その際に役立つのがゴムボートだが、波の荒い海で操作するのは大変難しいので、それを使った上陸訓練も頻繁に行なわれる。
ゴムボートの重量は100キログラムを超えるが、それを訓練兵で持ち上げたりする訓練も欠かせない。ゴムボートは自分を守るための重要な道具であり、それを自在に扱えないと自分の身に危険が及ぶため、その訓練を徹底的に行なう。

(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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