第4回/兵舎での共同生活
今の若者に昔の生活を強いている
国防省が兵士の管理において、一番力を入れないといけないのが兵舎の改善である。もともと、新兵訓練所や各部隊においても兵舎では大部屋が基本で、10人以上の人たちが1坪にも満たない自分のスペースで雑魚寝のような形で共同生活をしていた。
何十年も前であれば韓国もまだ貧しい時代で、各家庭でも余裕のある生活をしていたわけではない。だからこそ、軍隊での雑魚寝にも耐えられた。
しかし、韓国が経済成長を果たしたあと、それぞれの家庭でも生活が向上している。それなのに、軍隊では旧態依然としていた。そこに改善の余地があった。
そもそも、韓国には「母親は息子を舐(な)めるように可愛がる」という言葉もあるほどで、男子は大事な御曹司として母親に甘やかされて育つ。そういう人がいきなり軍隊に入って、大部屋で雑魚寝という形で軍隊生活をするのは、まさに生活の激変である。
しかも、階級や先輩・後輩の厳しい関係があり、新兵は非常に重圧を感じるものだ。ときには、いじめやしごきなどの問題も生じる。そんな軍隊生活に耐えられなくなって、兵士の中には自殺したり精神的に病んでしまう人もいる。
軍隊である以上は共同生活が基本なのだが、今風の若者を昔ながらの兵舎で生活させることに無理が生じてきた。そんな事情もあって、国防省は兵舎の改善に力を入れざるをえなくなった。(ページ2に続く)