ゴールするまで気が抜けない
いざ戦争が始まれば、軍人たちが長い距離を移動することはとても多い。そういう意味でも、行軍はとても重要だ。
まさに、新兵訓練の試金石とも言える。みんなと歩調を合わせてこの訓練を乗り越えないと、その先には進めない。
逆に言えば、これをやり遂げることによって、ほぼ新兵訓練が終わる。つまり、最後の関門なのだ。
「行軍を成功させればすべてが終わる」
そういう目標にもなる。みんな、家族や恋人の顔を思い浮かべながら必死にがんばるのである。
しかし、ゴールが近くなると、それだけで緊張が緩んでドッと疲れが出て倒れ込んでしまう新兵もいる。
そんなときは、小隊長が「最後まで緊張感を持ってやり抜くんだ。すぐにゴールだと思ってはいけない」と新兵を激励する。
その末に、ようやく行軍が終わる。およそ500人から600人くらいが一度に行軍から帰ってきてゴールする姿は壮観である。
新兵たちの顔には「やり遂げた」という充実感がある。まさに、新兵訓練のクライマックスが行軍なのだ。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)