韓国で100年以上続けて営業している老舗はわずか90しかないという。その一方で、日本では100年以上続く老舗が2万2千以上もあるそうだ。なぜ、日韓でこれだけの違いが出たのか。
老舗が多い日本
日本は2万2千で、韓国はわずか90。
老舗の数があまりにも違いすぎる。
ここまで韓国が少ないのは、韓国社会の風潮が影響している。
たとえば、日本の観光地をのんびり歩いていると、街の至る所で創業から100年以上が経った老舗を見ることができる。
食堂であれば、店舗の目立つところに「創業○○年」といった形で、江戸時代から続いていることを誇示するような表示もよく見られる。
かくのごとく、日本では先祖から子孫まで代々家業を継ぐ店が多い。それは、商売の伝統を受け継ぐ大切さが日本社会に浸透しているからだ。
一方の韓国では、100年以上も続いている店舗は全国でわずか90カ所しかないという。日本から見れば、本当にビックリするほど少ない数字だ。
その理由は明らかだ。
仮に、韓国で食堂を開いた人が成功したとしよう。
この場合、創業者は成功で得たお金を使って、子供たちに最高の教育を受けるような環境を整備するだろう。
そして、このように言うはずだ。
「家業を継がなくていいから、いい大学に入って大学教授や弁護士や医者に絶対になりなさい!」
くどいくらいに、創業者は「家業を継がなくていい」と強調するはずだ。
なぜならば、韓国では医者、弁護士、大学教員、高級官僚といった職業がもっとも尊重され、親は子供にそういう職業に就いてくれることを最大限に願うからである。そして、そのための教育資金をふんだんに使う。
かくして、仮に食堂で成功しても、その店は一代限りで、子供たちは店を継がないで別の道を歩んでいく。
仮に何代にもわたって食堂を続けていたとすれば、周りの人たちは「この家は、頭のいい子が出なかったんだな」と言うだろう。こういう韓国らしい価値観が日本人にわかるだろうか。
明らかに韓国では儒教の影響が強い。
儒教的な価値観では、頭を使って仕事をすることが一番尊いとされて、身体を使う職業はあまり評価されないのだ。そういう事情があって、韓国では100年も続く老舗が極端に少ないのである。
しかし、今後は韓国社会も変わっていくに違いない。
日本に旅行した人たちが、日本では老舗がとても多くて、すばらしい営業をしていることに大いに感激している。
今はわずか90しかなくても、ずっと後になれば、韓国でもきっと老舗が増えていることだろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)