韓国・南西岸への旅15「白い砂浜」

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地元の人たちの会話を羨ましい気持ちで見ていた。私は、近所の道ではいつも俯きがちに歩いている。「顔見知りに会っても気づかなかったことを装う」という気持ちがどこかにあるからだ。挨拶することが気恥ずかしい。そんな面倒くさがり屋の私からすれば、島の人たちはなんと自然で温かいことか。道端で人と会うことが楽しくて仕方がない毎日なんて、望んでもなかなか得られるものではない。けれど、ここではそれが日常であり、生きる支えになっている。

美しい海岸だった




美しい海岸

ひと通りの会話を終えてジェファンさんはゆっくりアクセルを踏んだが、老人たちはずっと私たちの車を見送っていた。
「よく知っている方たちなんですか」
老人たちが見えなくなってからジェファンさんに聞くと、彼は相変わらず穏やかな表情で答えた。
「ええ。このあたりは、お客さんを案内してよく来ますからね」
「明るくて人がよさそうな方たちでしたね」
「みんな助け合って生きていますからね」
そう言われて、「なるほど」と思った。地域でお互いに助け合おうという気持ちがおおらかさにつながるのか、と。近所での触れ合いを持たない私は、ちょっと孤立している気分だった。
それから向かったのは、青山島の北西にあるチリ海岸だった。




1キロメートルにわたって続く白い砂浜と、それを見守るように立つ松林。海の水も青く澄んでいて、視覚に入る構図のすべてが絵になっていた。
ジェファンさんが小さな家に向かって何度か声をかけると、中から40代の男が出てきた。昼寝をしていた様子で、まだ寝ぼけたような感じだったが、人が来たのが意外とうれしいようで、玄関先まで出てきた。
男はジェファンさんと知人の消息について話し始めた。私はそばで聞きながら、男が煙草を吸うのを羨ましそうに見ていた。
私自身は煙草を吸わないのに、なにゆえに羨ましかったのか。答はいたって単純で、こんなにもうまそうに煙草を吸う人を見たことがなかったからだ。
男は吸った煙をすぐに吐き出すのが惜しいかのように、息を止めて煙を体内に留め、こらえきれなくなってようやく吐き出した。その合間にも会話を途切れさせないのだから実に器用である。
ジェファンさんが「日本から来た人です」と私を紹介すると、男は薄笑いを浮かべて「この島から日本へ行った人間も何人かいるよね。俺も行ってみるかな」と言った。
一体、どんなふうに暮らしている人なんだろうか。

文・写真=康 熙奉(カン・ヒボン)

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