『二十五、二十一』を見ていて、悪意のある登場人物として腹が立ったのは3人だった。ナ・ヒドたちが通っていた高校の暴力教師、フェンシング国家代表チームのコーチ、そして、ナ・ヒドを困らせたテレビ局のディレクターである。
心が晴れるドラマ
『二十五、二十一』の登場人物で嫌悪すべき人間は3人しかいなかった。
これは、韓国ドラマでは珍しいことだ。というのは、ストーリーを面白くするために、あえて悪役的な人間をたくさん出してくるからだ。
逆に、『二十五、二十一』で良かったキャラを挙げたらキリがない。主要5人のキャラはもちろん、ユリムのオンマ、スンワンのオンマ、ペク・イジンのテレビ局の先輩、傷心のナ・ヒドを慰めた食堂のハラボジたち、高校フェンシング部のヤン・コーチ、フェンシング部の後輩イェジ……。
ペク・イジンを激しく責め立てた借金取りのアジョシすら後にいいキャラに変わっていった。
そうなのだ。『二十五、二十一』には善意の人たちがたくさん出てくる。そういうドラマは見ていて本当に気持ちがいい。
結局、『二十五、二十一』は人物の描き方に情があり、人間への肯定的な捉え方があった。それが、悪意がないストーリーに生きていた。
だからこそ、見ている人たちが素直な気持ちになれる。そのうえで、最後まで信頼しきってドラマを見続けることができた。
こういうドラマが人生にあれば、それだけで幸せな気分になってくる。
そういう意味でも、善意の人たちが活躍する『二十五、二十一』は、見ていて「心が晴れる」ドラマであった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)+「ロコレ」編集部