日本では連続ドラマも10回でワンクールというものが多いが、韓国の場合はミニシリーズでも16回はあるし、50回連続のドラマもある。それこそ、毎日放送するドラマなら平気で100回を超えていく。
ドラマを作る情熱
「そんなに長くドラマを続けられるほど、話のネタがよくあるな」
そう感心するが、韓国ドラマが長い回数を作れるのは、出てくる人みんなの人生を細かく描くからだ。
韓国ドラマは主人公だけで話が終わらない。主人公の両親や兄弟、友人、はては叔父さんや叔母さんまで出てきて、それぞれの人生がリンクしていく。
もともと韓国は大家族主義で、かつては1つの家で多くの親族が同居していた。最近は核家族化も進んできて、大家族主義とは離れてきているが、ドラマが描くのは必ず大家族で、叔父さんや叔母さんまで居候しているという設定が多い。
現実は核家族が多くなっても、韓国人の中にある大家族主義への郷愁というものがドラマにうまく織り込まれている。それだけに、よけいにドラマに愛着が沸くのだ。
さらに、見逃せないのはドラマ作りに励む人たちの情熱だ。
実際、韓国のテレビ局は、ドラマを作る情熱に関してどこの国にも負けないほどエネルギッシュであり、アイデア満載であり、徹底的にやり抜いている。
結局、韓国がこれだけのドラマ大国になっているのは、ドラマが本当に好きな国民がいて、その人たちに応えようとしてテレビ局が制作に励み、なおかつ、演技に熟練した俳優たちの粒が揃っているからなのだ。
しかも、脚本家も女性を中心に才能豊かな人が多い。
いろんな意味で、ドラマこそが、韓国の人たちが情熱を空回りさせないで才能を発揮できる最高のコンテンツなのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
晩秋の紅葉の中で思い出す「韓国ドラマの素晴らしいセリフ」(前編)