もう10年近く前になるだろうか。女友達三人で、新大久保に遊びに行った。駅を降りたらすごい人混みだった。その日は前もって調べていた、評判の良いお店でランチ、人気のカフェでお茶、韓国コスメを扱うお店に寄る、など予定は盛りだくさんだった。
魅力ある俳優の出演作は続けて観たくなる
ランチのサムギョプサルは美味しかったし、イケメンのいるカフェも面白かった。
あちこち寄り道しながら歩いていると、ライブハウスで、これからライブをするグループが、チラシを配っていた。
私たちは、誰ともなく「行ってみようか」と言い、地下に続く階段を下りて行った。
ROTIというグループだった。初々しく、さわやかなグループだった。
お客さんは、私たちと同年代の人が多かった。
アイドルとお客さんの距離が近くて、ファンにとってはたまらないと思う。私たちもノリで楽しんだ。
なぜか、韓国ドラマが急に観たくなってきた。新大久保という場所が、そうさせるのだろうか。
友達におすすめのドラマを聞いてみた。
「宮」が面白いと、その当時教えてくれた。
その日を境に、どんどん韓国ドラマにハマっていった。
「宮」のユン・ウネが可愛くて、その後も「ぶどう畑のあの男」や「お嬢様をお願い!」などを立て続けに観たものだ。
今は「キム秘書はいったい、なぜ?」のパク・ミニョン出演の「彼女の私生活」を見始めた。
彼女の笑顔と、くるくる変わる表情が可愛い。
キュッと口角がきれいに上がるのが、うらやましい限りだ。
話は少しそれるが、「ぶどう畑のあの男」の素朴な青年を演じていた、オ・マンソクが「愛の不時着」では、悪事に手を染めた上官役だった。
「彼女の私生活」のアン・ボヒョンは、頼りないところもある一方、一途でやさしい男を演じていたが、「梨泰院クラス」では不祥事ばかりおこす悪役だった。
オ・マンソクもアン・ボヒョンも、それぞれのドラマの役が違いすぎて、一瞬、同じ俳優さん? と思うほど素晴らしい演技だった。
また、「彼女の私生活」で何度も巻き戻して観ていたシーンがある。ゴヌの受け身のシーンだ。
バターンと倒れる姿が、何度観ても可愛いくて、自然と笑みがこぼれてしまう。ゴヌにたくさん癒された。
さて、現在の新大久保はどうなっているのだろうか。
狭かった道幅も広くなって、若者層も増えているらしい。新しい発見を期待して、久しぶりに行ってみたくなった。
文=須坂のりこ
生活エッセイスト。ものづくりの現場に携わり、手芸を中心に多彩に興味を広げており、特にファッション、クラフト、デザインについて発信を続けている。西村玲子さんのエッセイ&イラストが好き。大人の楽しみとは何か、をいつも考えながら暮らしている。