韓国ドラマ『ディア・マイ・フレンズ』から見る、ある熟年夫婦の形とは?

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アカデミー賞女優ユン・ヨジョンも出演の『ディア・マイ・フレンズ』は、韓国を代表するレジェンド俳優たちが人生のときめきと哀愁を自然体で演じるヒューマンドラマ。年老いていく親や夫婦の形、往年の恋など、誰しもの心にやさしく響くストーリーだ。今回はその中から二組のカップルについて触れてみたい。




羨ましい2人の姿

『ディア・マイ・フレンズ』には、何組かのカップルが描かれている。若手キャストであるワン(コ・ヒョンジョン)とヨンハ(チョ・インソン)のラブストーリーも印象的だったが、それに引けを取らないほどヒジャ(キム・ヘジャ)とソンジェ(チェ・ホン)の往年の純愛も心に響いた。
子供たちの世話になるまいと1人で生きていく決心をしたヒジャ(キム・ヘジャ)に認知症の症状が襲う。自らも認知症に侵されていることに気付いて、介護施設に入る決心をする終盤には胸が痛むが、幸いヒジャには初恋の人がいた。認知症に侵されていくヒジャを愛情いっぱいに見守っているソンジェの姿は実に美しく、老いてもなお初恋が支えになっている2人の姿には羨ましさえ覚える。
一方、ヒジャの親友ジョンア(ナ・ムニ)と夫・ソッキュン(シン・グ)の存在は強烈だった。前述のヒジャとソンジェの恋は夢物語に近いが、こちらは現実的な熟年夫婦だ。いつか世界旅行に連れて行くという夫の約束だけを楽しみに、ジョンアはどんな苦労も厭わず生きてきた。




ケチでイヤミな夫にも仕方なく目をつぶりそれだけを楽しみに生きてきたのに、ジョンアはとうとう限界に達してしまう。何十年も仕えてきた夫に愛想を尽かし「気分転換じゃなくて、人生を転換したい!」と、一人暮らしを始めたジョンアにエールを送りたくなった。
とにかくケチでイヤミな夫ソッキュンの横暴ぶりを見ながら「こんな夫はごめんだわ」とすっかりジョンアに肩入れしていたのだが、ある瞬間からソッキュンへの見方がガラリと変わる。ソッキュンが知らず知らずのうちに犯してきた罪をこれでもかと見せつけられる展開に変わっていくからだ。
ソッキュンが何十年もの過去を走馬灯のように回想するシーンは圧巻。人は人生の終盤に差し掛かると、後悔に次ぐ後悔がこんなにも溢れ出てくるものなのかと恐怖感さえ抱いた。生きることに必死で、いつも傍にいる妻の気持ちを慮れなかったことへの後悔が、ソッキュンにこれでもかと覆いかぶさっていくのだ。
人は知らず知らずのうちに犯している罪のなんと多いことか。「私たちの人生には善行より罪のほうが多い、だから人生は損することなどない」というソッキュンのセリフがじわじわと心に沁みる。




中盤まであれほどジョンアに肩入れしていたにも関わらず「ごめんね、わかっていなかったのは私のほうだったね」とソッキュンを抱きしめたくなった。
どんな夫婦にも歴史があって今がある。『ディア・マイ・フレンズ』のジョンアとソッキュンから、改めて夫婦でいられることの有難みを教えられた気がする。

文=朋 道佳

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